現場1年目用 データマーケティング・マニュアルvol.1 指示を受けたらマーケター失格!?

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データマーケティング現場の皆様へ

 

この連載は、データマーケター7年目の私が、1年目の方向けに「現場の実践ノウハウ」をお伝えするものです。

「研修で間に合っていますが?」の声も聞こえますが、筆を取ったのは「ある矛盾」が出てきているからです。

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この矛盾解決の一助となりたく、今回のマニュアル公開を決意しました。

 

そもそもデータマーケティングとは?

データマーケティングを一言で言うと、「ビッグデータ等をフル活用したマーケティング」です。

その前に。そもそもマーケティングとは、概念的には「相手の痒いところを掻く仕事」だと思っています。

 

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少し具体的にすると、以下()になります。

 

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つまりマーケティングは、基本的に「3つの問い」で成り立っています。

 

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この三問にビッグデータ等を用いて解を出す活動が、データマーケティングです。

※ちなみにビッグデータとは「人が行動すると増えるデータ」であると解釈しています。
(例:SNS投稿データ・サイト訪問データ・購買履歴データなど)

 

データマーケティング・基本メニュー

 では、ビッグデータ等をマーケティングにどう活用するか?先程の「マーケティングの基本3問」になぞらえると、次のようになります。

まず「誰を相手にするか?」の基本メニュー。

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ポイントは、未顧客から探るには「アンケート調査・インタビュー調査」が今なお有効な手法な点。「ビッグデータでない=バッド」ではありませんし、「ビッグデータ=グッド」でも必ずしもありません。目的と状況次第です。

次に「相手の痒いところはどこか?」の基本メニュー

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ポイントは、「n=1000」よりも「n=1のリアル」。深い洞察は、リアリティから生まれます。

3つ目に「そこをどう掻くか?」の基本メニュー

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ポイントは「データ活用に固執しない」ことです。相手をウゴかせるなら、手段は問いません。

このように、ビッグデータ分析と右脳的発想を組み合わせて仕事を進めます。

「ビッグデータ活用か。文系出身の自分はお呼びでないかも」と戻るボタンに向かう貴方、お待ちください。私も文学部卒ですし、実は"構造的に文系も活躍しやすい"仕事なのです。なぜなら、データマーケターの現場仕事の9割は「図表とストーリーで関係者を説得する」だから。加えて、そもそもデータ分析の対象が「数値化しにくい人間心理」であるため、その背景を理解するためにも「コミュニケーション能力」が必要不可欠だからです。

 

現場仕事の進め方

 基本は、次の3ステップです。

 

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この3ステップを繰り返して組織を動かし、生活者の痒いところを組織的に掻いていきます。

ポイントは、データ分析はあくまで手段であって目的ではない点。つまり極論、「仮説とトーク」で人を説得できるなら、データ分析・パワポは不要です。
各ステップのコツについては、第2回以降でじっくりご紹介します。

 

大切な心得「指示を受けたら負け」

 実践テクニックの前に、特に社会人1年目の皆さんにお伝えしたい「データマーケターの心得」があります。

それは「指示を受けたら負け」と思うこと

「1年目だから指示を受けるのは当然だ!」という認識は、罠です。「指示をこなすのが仕事」の認識が染み付くと、知らぬ間に「指示待ちサラリーマン街道」をひた走ることになるから。

問題は、指示待ちサラリーマンにマーケターは勤まらないことです。なぜなら、マーケティングの基本は「相手の痒いところを"先に"見つけ、ライバルより上手に掻く」だから。

つまり、人から「これが欲しい」と声に出された時点で、マーケター失格。

スティーブ・ジョブズに「iPhoneを作って」と指示した人はいません。天性のマーケティングセンスを持つジョブズが、生活者の声にならない欲求に気づいたからこそ、iPhoneを創り出せたと思うのです。

先回りして仕掛ける。これが大前提。
そのため「指示を受けたら負けの心得」と「先回り思考」の体得が必要です。

 

体得のコツ「KPI化で良サイクル構築」

体得のコツは3つあります。

第一のコツ「デキる先輩の思考トレース」
これは会議後に「先輩は何に着眼して、どう発想したから、さっきの先回り発言をできたんだ?」を考えること。続けてると、先輩から先回り思考を盗めます。

第二のコツ「キーマン論点」
博報堂の怪腕ディレクターらの思考トレースを6年間していて気づいたのですが、
彼らの思考の出発点は「3C分析やSWOT分析のようなフレームワーク」ではなく、「提案先のキーマンが悩んでいる論点」が大半です。

 

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フレームワークは視野を広げるのには便利ですが、打出の小槌ではないので、信奉し過ぎないのが良いと感じています。

 

第三のコツ 新人のKPIを「3人以上の会議中・後で、先回り発言できた数(率)」にする
新人は会議で議事録役が多く、どうしても傍観者意識が働いてしまいます。そこで、3人以上の会議中or後に「○○が必要なのでは?」と指示前に言い出せた数、これを記録して毎週トレーナーと眺める。

すると、次のような前向きなサイクルが生まれてきます。

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「○○を意識する!」だけで行動を変えるのは至難の技。KPI化で行動が自然と変わる心理システムを築けます。そのため、3つのコツの中で1つだけしか実行できないとしたら、第三のコツの徹底的実践をオススメします。

 

以上、第一回でした。

第二回以降は、「基本3ステップ実践のコツ」を紐解いていきます。
ご期待ください!

 

“生活者データ・ドリブン”マーケティング通信 | 博報堂DYグループ より転載