7000万人超の生活者と企業をつなげるソリューション ──「ファンコネクトSP」が開く新しいCRMの可能性

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データを活用した顧客との関係づくりがあらゆる企業にとって必須となっています。しかし、顧客との直接の接点のないメーカーなどの企業がエンドユーザーのデータを収集し、分析・活用する方法は限られています。そのような課題を解決するためにNTTドコモと博報堂DYグループが開発した新しいソリューションが「ファンコネクトSP」です。その概要と可能性について、ソリューション開発・運用プロジェクトのメンバーに語ってもらいました。

 

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長谷川 隆

NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部ウォレットビジネス推進室 O2Oビジネス・O2Oビジネス担当主査

 

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髙栁 太志

博報堂 ストラテジックプラニングディレクター

 

 

f:id:data-h-products:20191204103823j:plain菊地 友幸

博報堂プロダクツ データビジネスデザイン事業本部 本部長 エグゼクティブKPIデザイナー

 

|膨大な数の生活者とのダイレクトな接点を創出する

 

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NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部 長谷川 隆氏

──はじめに、「ファンコネクトSP」開発の背景についてお聞かせください。

髙栁 消費財メーカー系のクライアント企業の多くは、間接流通事業者であるがゆえの悩みを抱えていらっしゃいます。自社の商品のエンドユーザーである生活者とダイレクトに繋がることが難しいという悩みです。

菊地 商品を小売に卸すところまでがメーカーの役割で、実際に生活者と接するのは流通事業者です。そのために、メーカーはこれまで生活者のデータを直接収集することがあまりできなかったわけです。もちろん、キャンペーンやイベントに参加した人のデータや、ウェブ上の行動履歴などのデータはあるのですが、購買行動を含め、正確なユーザーデータがほとんどないというのが実情でした。

髙栁 メーカーによっては、自社の顧客データベースであるCDP(Customer Data Platform)を運営しているケースもあるのですが、データの収集や維持・管理に膨大な手間とコストが掛かってしまいます。

長谷川 そこで、NTTドコモのポイントプログラムである「dポイントクラブ」の7000万人を超える会員とメーカーをつなげるサービスを実現しようと考えたのが、「ファンコネクトSP」の始まりでした。dポイントクラブの会員データは、正確で信頼性が高く、性別・年代をはじめ多様な情報があります。これにキャンペーンの応募履歴などを合わせて蓄積することで、メーカーは自社製品に興味がある方や、ご利用いただいている生活者をよりイメージしやすくなります。これが、ファンコネクトSPのコンセプトです。

 

|ファンとの継続的なコミュニケーションが可能に

 

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──ファンコネクトSPの具体的な機能や活用法について説明してください。

 

髙栁 メーカー企業の自社製品の「ファン」との「コネクト」をつくって「SP(販促活動)」を継続的に展開できるのがファンコネクトSPの基本的な機能です。僕たちはこれを「デジタル消費者キャンペーンプラットフォーム」と定義しています。

生活者との接点をdポイントクラブのサイトやアプリ内、つまりNTTドコモの環境の中でつくれるのが大きな特徴で、さらに各社専用のファンページを立ち上げ、そこでコミュニケーションを継続していくことができます。ファンページでキャンペーンを展開することによって、参加履歴などのデータがどんどん蓄積していくので、それを活用して長期的で深い関係を構築がすることが可能になります。

長谷川 dポイントの大きなコミュニティの中に各メーカーのコミュニティができるイメージですね。これまでは、お金をかけてキャンペーンの仕組みをつくって応募してもらっても、キャンペーンが終わるとそこで応募者との関係が終わってしまうというケースが多かったと思います。しかし、定常的なコミュニティがあれば、そこで継続的にコミュニケーションを行い、PDCAを回して、次のキャンペーンにつなげていくことができます。

菊地 サンプリング、マストバイキャンペーン、動画視聴など、キャンペーンやコミュニケーションは多様な設計が可能です。クライアントのニーズに応じて汎用的な使い方ができるのもファンコネクトSPの大きな特徴です。

髙栁 もう一つ、dポイントクラブの会員データがとてもリッチなので、さまざまなアプローチの方法が考えられるのもこのソリューションのメリットと言えます。生活者の同意が前提となりますが、会員登録情報だけでなく、dマガジンやdショッピングといったサービスの利用データや位置情報、決済情報などの行動データから、個人を特定しない形で嗜好性を読み取ることが可能で、それによって深い顧客分析や詳細なターゲティングが出来たりするわけです。

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博報堂 髙栁 太志


菊地 ここまでのデータを備えたCDPをつくるのには、巨額の投資が必要ですし、一からデータを溜めていくのは気が遠くなるような作業になります。それが揃っていてすぐに使えるというのは、クライアントにとって大きなメリットになると思います。 

髙栁 ファンコネクトSPを使ってキャンペーンを重ねることによって、クライアント独自のファンマーケティングのモデルをつくることが可能だと考えています。ブランドのファンになってもらう為には、どういうカスタマージャーニーを歩んでもらうのが最も効果的なのか。キャンペーンを複数走らせながらデータ分析していくことでそれが見えて来ますし、カスタマージャーニーの各段階でどんなメッセージを送るのが最適なのか、A/Bテストによって分かってくると思います。

こうして作ったモデルは、次のキャンペーンだけでなく、ほかのチャネルやメディアを使ったキャンペーンにも活用できるはずです。ファンコネクトSPをCRMの精度を高めていくための実験場とする。そんな活用法もあると思います。

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──どのような業種のクライアントにお使いいただくことを想定しているのでしょうか。

菊地 現在は、飲料、食品、トイレタリーといった日用品のメーカーへの提案を行っています。

髙栁 例えば、トイレタリーメーカーの場合、自社の製品をどのような人が使っているのか、同じ人が使い続けているのか、新しいファンが生まれているのかといったことを把握することがこれまでなかなかできませんでした。そのようなメーカーにとって、ファンコネクトSPはかなり有用なツールになるはずです。

菊地 ファンコネクトSPの仕組み自体は、ファンづくりが必要な企業や団体はどこでもお使いいただけるので、今後、アプローチの対象を広げていきたいと考えています。耐久消費財のメーカーやサービス系企業などにもぜひ提案していきたいですね。

 

|それぞれの強みを生かしたチームワーク

──ソリューション開発には1年半ほどを要したとのことですが、開発時に目標にしたことや苦労したことは何でしたか。

長谷川 dポイントクラブは、日本最大級の会員数をもつ共通ポイントプログラムであり、データ量・種類ともに多く、正確性もあります。この資産を、博報堂DYグループの皆さんがもっているマーケティング、SP、あるいはキャンペーン設計のノウハウと組み合わせることによって活用していこうというのが、このプロジェクトの当初の大きな目標でした。

髙栁 NTTドコモのデータやソリューションの資産と、博報堂DYグループのビジネス資産をどう組み合わせて、どうシナジーを生み出していくか。そこを徹底的に話し合いました。もちろん、重要なのは、そのシナジーをクライアントやdポイントクラブ会員のメリットにつなげていくことです。クライアント、ユーザー、NTTドコモ、博報堂DYグループ、そのそれぞれがハッピーになる形をつくるのが一番の苦労点でした。

菊地 お互いの強みをどれだけ生かせるかというのも大切な視点でしたね。博報堂プロダクツのデータビジネスデザイン事業本部の強みは、CRMの経験値が高いことだと考えています。企業の見込み顧客やファンを集め、優良顧客へと育成していく。そのためにさまざまなキャンペーンやコミュニケーションを展開していく──。僕たちがもっているそのノウハウをdポイントの環境の中でどう生かしていくかという点に大きなチャレンジがありました。

 

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博報堂プロダクツ 菊地 友幸

髙栁 クライアントと生活者の関係をよりよいものに育てていくには、インサイトを把握する力が必要になります。クライアントのビジネスやマーケティングを理解し、課題の本質をつかむ力。それから、生活者の行動や潜在的ニーズを把握する力。その二つのインサイトを組み合わせて、いかにクライアントの製品を多くの人に好きになってもらい、買ってもらうか。その戦略をつくるノウハウに博報堂の強みはあります。この開発プロジェクトの中でも、その強みを発揮することをめざしました。

長谷川 NTTドコモが会員基盤という資産とそれを活用した仕組みを提供する。そして、博報堂と博報堂プロダクツの皆さんがその価値を最大化するプランをつくる。そんなチームワークがこのソリューション開発のエンジンになったと思います。

 

ソリューションはこれからも進化していく

──今後のビジョンを聞かせください。

長谷川 現在dポイント加盟企業は200社以上にのぼりますが、こうしたパートナーとの購買データの連携による協業が加速度的に広がっていくと、私たちは期待しています。

一方で、今後、社会のあらゆる場面でさまざまなデータが活用されるようになると、生活者自身も、自分に関するデータがどう取得され、どう活用されるかを意識するようになるのではないでしょうか。データプラットフォームを運用する事業者は、データ活用のポリシーをしっかり示す義務があるし、生活者が自身のデータの使われ方を選べる仕組みも必要となります。そのような環境を整えた上で、これからも私たちのデータ資産をいろいろな企業に使っていただき、生活者へよりお得・便利をお届けすることをめざしたいと思います。

髙栁 博報堂には独自の生活者DMPがあり、クライアントの中にも顧客データベースをお持ちの企業があります。今後、それらのデータベースをdポイントクラブの会員データとうまく連携させていくことができれば、データはさらにリッチになりますよね。個人情報の保護の仕組みを万全にしながら、データベースの拡張の方法を模索していければと思います。

菊地 まずは、多くのクライアントにファンコネクトSPを使っていただくことが一番の目標ですね。しかし、使っていただいてもファンとうまくコネクトできないという状況が生まれてしまっては元も子もありません。クライアントに伴走しながら、確かな成果につなげていくことをめざしていきたといと思います。

クライアントの業種やニーズによってファンコネクトSPの活用法は異なりますし、活用例が増えていけば新しい方法論がどんどん見えてくるはずです。改善を繰り返しながら、ファンマーケティングのスタンダードとなるソリューションに育てていきたいですね。

 

(生活者データマーケティング通信より転載)

 

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https://www.h-products.co.jp/pdf/info20190620.pdf